2016年10月26日水曜日

フランスの秋、プチ・バカンスの風景


朝靄に包まれた田舎の家
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
こちらは現在秋休み真っ最中です。

先週は田舎の家で過ごし、夫とクルミを多分10キロくらい、栗は多分5キロくらい収穫しました。
落ちる寸前のくるみ
たった一本の木なのに
拾っても拾っても追いつかないのです
今年は栗も虫が付く前に拾えました
兄猿の提案で、マロングラッセにチャレンジ中。
現在栗きんとん状態です。
もう少し乾いたら本当にグラッセ風になるの?

怪しい感じのDay3・・・腐る前に食べようと思います。
その間、子猿たちは従兄弟たちと、小屋を作ったり、義父の引導のもと、落ち葉や枯れ木を焼いたりと、少年らしく遊んでいました。

この従兄弟たちがまぁなんと愛らしいこと。
年は、うちの子猿兄弟より半年ずつ年上ですが、比べものにならない品行方正さで、
現在バカ丸出しの兄猿の下らないギャグにも反応して上げるし、
祖父母(私にとっての義父母)との遣り取りも、程よい子供らしさを残しつつ、賢いことを言ったり、感謝の意を示したり、と、大人の目から見ると理想的な子供なのです。
柑橘類はオランジェリーにて冬を越します

そう、今兄猿は、少年期最後、それとも思春期初めなのかな、とにかく躁状態というか、かつてのおとなしくて恥ずかしがり屋はどこに行ったの? というくらいうるさいし、ウザいのです。今回義父からは、ムッシューラジオと名付けられるほど。

とにかく見ていて本当に恥ずかしい。
なぜそんなに恥ずかしいかというと、まさに、昔の自分を見るようだから。

余計なことを言う。
ウケ狙いの冗談を言って外しまくる。
声がデカイ。
がさつで品がない。
内省するということがない
根拠なき万能感がみなぎっている。

少し前の私だったら、もうケチョンケチョンに叱るか、即退場させたと思うのですが、今は、あまりに周りの迷惑になっているとき以外は黙っているように心がけています。
こんなに人生ノリノリで、楽しいことはもうこの先そうそうないだろうし、
バカやって許されるのもこれが最後だろうし、
大人になって振り返ったときに、
「子供時代はバカやったけれど楽しかった」
と幸せを噛みしめてもらえるならいいかな、って思うのです。

田舎の家を発つときに、
従兄弟の一人が泣きそうになっていました。もっと遊びたかった、って。
うちの子猿たちは平気の平の字だったんだけど。
この従兄弟たち、子猿たちがいないと、いつもいがみ合っている。
私もその場にいたことあるけれど、パワハラ対モラハラみたいな、嫌な感じなのです。

話が飛ぶようですが、横浜のインターナショナルスクールは子供の裁量が大きく、そんなにガミガミキツキツではないのですが、時折、その枠を越えて羽目を外してケンカしたり、もめ事になったり、ということがありました。その原因となっているのが、意外にもフランス人児童だったことが多かったのです。「意外にも」というのは、フランスの学校では、先生が介入するレベルのケンカや問題があると、すぐに親や心理スペシャリストが呼ばれ厳しく処罰されるので、おとなしくしている子が多く、、よって、フランスの学校で問題のない子であれば、インターでは優等生扱いでしょう、と思っていたのです。

さらに話が飛ぶようですが、何年か前に話題になったPeter Gumbel氏の本では、フランスの子供たちは自信喪失していて、それは苛烈な学校での環境に問題がある、とレポートしていました。「苛烈」......例えば、学力を上げるため、成績を公表し切磋琢磨を促す学校、とか、先生は教える人であって、モラル面でのメンターではない、とか、グループで協力させようという風土はなく、友達もライバルという関係性を増長させる学校とか、だそうです。

そして、わが夫。
自分の子供時代は恵まれていたのにも関わらず、幸福だったとは言えないなぁと先日つぶやいていましたっけ。
今の兄猿がカボチャだったらこんな感じ
私の仮説ですが、ひょっとするとフランスの、普通に「良い子な子供」は、親の前/祖父母の前/学校では、このように振る舞うべきだ、ということを抑圧的に躾けられているのではないでしょうか。
バカなことをしたり、調子に乗ったりすると、叱責されるか、軽蔑される、もしくは処罰されるからぐっと我慢しているのではないでしょうか。
横浜のインターでは、フランスの学校のような抑圧がないから、箍が外れて、でも加減がわからないから、問題視されるようなインシデントを起こしてしまうのではないでしょうか。

妙に「良い子」な従兄弟たちをみて、そんなことを思ったりしました。
(単に私のジェラシーかもしれませんが! )

だから、今日も私は我慢する。
兄猿がどんなにバカなことを言っても、どんなにうるさくても、
楽しいならいいじゃないか。いつか、自ら自分のバカさにぞっとする日が来るに違いない、かつての私のように。それまでは幾ら外野がガミガミいっても、言われていることがわからず、唯々悲しくなるだけだろう。

ということでこの秋休みの標語は、
「耳は餃子で心は貝」
昔、ANAの新人時代に余りに先輩たちからあーだこーだ言われる同期が 「うるさ~い!」と逆ギレしないために創り出した標語です。
これを実践し、あと一週間を乗り越えたいと思います。

皆さん、良い秋をお過ごし下さい。





2016年10月14日金曜日

インターナショナルスクール vs フランスの学校


まもなく、今学年初めての学校休みが始まります。Toussaint(万聖節)を挟んで2週間の秋休みです。

フランスの学校では、6~8週間学校 → 2週間休み(秋) →6~8週間学校 → 2週間休み(ノエル) → 6~8週間学校 → 2週間休み(冬) → 6~8週間学校 → 2週間 (春) → 6~8週間学校 → 2カ月休み(夏)というスケジューリングで一年が終わるのです。バタバタと忙しそうでしょう?


横浜で子猿たちが通っていたインターナショナルスクールも、同じような時期に休みがありましたが、クリスマスと夏休み以外は、一週間もしくは週末含めた4連休と短かったので、こんなに気忙しいことはありませんでした。


2週間のバカンスって、ちょうど身体が緩やかな時間に慣れてきたころに、また学校生活が始まる!みたいな、中途半端な期間だと思うんです。それに6-8週勉強・2週休み制のスケジュールだと、教える先生方もモジュールの組み方が難しいんじゃないのかな。毎学期初めはウォームアップのために、時間ロスもありそうだし……。

ちび猿にせがまれて、もう一羽増えまして、
TitiとTwixという夫婦となりました。
フランスの学校……
横浜に転勤になる前は、子猿たち、もし普通の頭の出来ならば、普通にフランスで教育を受けて、普通にフランスの大学に行って、まぁ卒業するまでに日本語もビジネスレベルまでマスターできたら、社会において役に立つこともあるかもしれないし、いいんじゃないの? などと漠然と思っていました。

フランスの学校、結構きついけれど、私も結構きつい日本の学校で教育受けて、それなりに青春したし、こうして大人になったんだから、子猿たちもそれでいいんじゃないか、って思っていたのです。

でも、横浜のインターナショナルスクールで2年間、アングロサクソンの教育を受けさせてから、ちょっと考えが変わりました。
小中高の学校生活のクォリティーも、もっと高めて上げたい、と思うのです。

学校生活のクォリティー、それは学力以外のところの、学ぶ喜びとか、あとは学園生活の愉しさとか、そういうことです。

インターナショナルスクール。
何よりもアイ・オーピニングだったのは、「学校教育ってこんなに楽しくできるんだ」ということ。私の小学生時代の10倍楽しそうでした。人生において、こんなに無条件に楽しい時期があるのって、貴重だなぁって、子猿たちののほほーんとした笑顔を見ていてつくづく思いました。人生を信頼しきっている顔だったのです。

楽しい理由、一つには楽しいムード作りがされていたこと。
インターナショナルスクールでは、2週間に一回はFun dayみたいなのがあって、「Crazy hair Day」とか、ユニフォームじゃなくていい「Free dress Day」とか、素朴なものなのですが、子供たちはそれだけで大はしゃぎでした。

週一回の生徒集会では、毎回ある学年が司会進行を任され、あるテーマについて自分達で撮った動画を使ったり、実演したり、いわばミニ文化祭・学芸会のような感じで、子供たちにとっては、人前で何かする機会となるので、いい経験だったと思います。
そのほかにも、コンサート、タレントショー(自分が得意なことをステージで披露するショー。これが楽しいの、素晴らしいのったら!)、ムービーナイトなどなど、楽しいイベント盛りだくさんでした。

もちろん楽しい理由はこれだけではなく、少人数制がゆえの、皆が仲良しで、先生の目も行き届いて、など、理由は幾つもありますが、これらイベントが学校生活のスパイスになってくれていたのはそうだと思います。
By 兄猿

勉強についても、ほぼ全科目、興味と好奇心一杯で取り組んでいました。
どうやってそんなことが起きたかというと、「美味しいところ先取り戦略」だったから、だと思います。

日本やフランスは、きれいに書く、ペンはちゃんと持つ、姿勢を正して、誤字脱字は×、要は、まずは基本を押さえてから応用編に行こうよ、という考え方だと思うのですが、インターナショナルスクールでは、まずは学ぶ楽しみを知って貰おう、というアプローチでした。
例えば作文のミススペルなどは、直さない。一々直されてたらやる気なくしちゃうから。読解力を付けるためのReadingは、教室のカーペットやクッションの上に寝っ転がって読んで良し、タブレット、PCを駆使する、数学はオンラインで見知らぬ国に居るコと、かけ算バトルだってしちゃうなど、エトセトラ、エトセトラ。

今でも忘れられないのは、ちび猿が3年生のときに、初めてパワーポイントを使ってプレゼンテーションを作る、という宿題と取り組んでいるときに、

「I lo~ve making presentations!!」

って感嘆符一杯の声を挙げたのです。彼はガジェットに目がなく、コンピュータを触るのが大好きなので、ついにパワーポイントを使わせてもらえたのが嬉しかったから、というのはわかるのですが、リサーチも楽しそうにやっていたし、テーマについてしっかり学んでいたと思うのです。
あまりにワクワクと取り組んでいる姿に、私、学校の勉強に対して、ここまで喜びを持って挑んだことなかったなぁ、と羨ましくなったものです。

一方兄猿は、「プレゼンとなるとみんなパワーポイント使うから、ボクはこうするの」と独自のアイデアを工作で実現させたり、とても楽しそうでした。

そのほかにも、創造性を高く評価してくれるところとか、情操教育にも力を入れているところとか、あと、出来ないコ、素行が悪いコに対して、みんなで面倒見ていこう、というアプローチがあったりとか、とても良い学校でした。
楽しかった日々……
さて、フランスは、というと……。

兄猿はフランスのシステムではCollegeとよばれる中等部で新生活スタートしました。
現在11歳、日本だったら小5です。

初等部と違い、各科目専門の先生がいて、というのは、日本、そしてインターでも同じですね。
インターと大きく違うのは、クラスのサイズ。インターでは、一クラス15人でしたが、こちらでは一クラス36人! 公立校であれば、25人を越えた辺りから新しいクラスを増設することを申請できるらしいのですが、何故か私立校ではそれができないらしく、よって、兄猿の学校は一学年=36人×7クラスです。
勉強の方は、
語学、英語のほかにスペイン語も必須となりました。
英語は、帰国子女向けのクラスがある学校で、割とハイレベル。インターの最終年でやっていた英語よりも数段難しい。インターも、ミドルになるとこんなに難しい文章を読むのか知りたいところです。この先、中3になると(年齢的には14歳になる年)ドイツ語やラテン語も選択できるようになるらしいです。

数学は思いがけずそんなに難しくない。インターの算数は、日本と比べると簡単だから、フランスに帰ったら苦労するだろうな、と危惧してたんだけど。これからスティープに難しくなるのかな?

クラブ活動も幾つか用意されているけれど、日本やインターの部活ほど盛り上がっていないようです。
インターナショナルスクール時代のバンド活動
兄猿は、部活しない替わりに、地域のコンセルヴァトワール(音楽院)でフレンチホルンのレッスンを受けることにしました。
横浜のインターナショナルスクールは、音楽教育に力入れていて、去年からはバンドの授業があり、兄猿はホルン担当でした。それが余程楽しかったのでしょう、ここでも続けたいというので、音楽院に登録したのです。
フランスは、音楽は学校でやらない分、この地域の音楽院が代役を務めていて、要は、音楽は興味がある子だけやればいい、というスタンスなのです。ここでも、「基本からしっかり」というアプローチで、楽器のレッスンには漏れなくソルフェージュが付いてきます。それが週一回90分! 実際の楽器のレッスンは、個人レッスン30分、バンド・レッスンが1時間ですから、同じだけソルフェージュにも時間が費やされる勘定になります。

兄猿に、「どう、フランス?」と聞いたところ、「日本はすごく良かったけれど、フランスもいい。インターは友達が優しくて、すごく楽しかったけれど、こっちもいい。ただ、フランスの学校は、人数が多いせいか、柄の悪い人が多い」……とのことです。
新しく買って貰ったマウンテンバイクに、学校の「柄の悪い人たち」が悪さをしたことがあったので、それ以来またやられるのではないか、盗まれるのではないか、といつもすごく心配している兄猿。
でも、それはそれで、毎日楽しそうに学校に向かっています、今のところ。

一方ちび猿君。
こちらでCM1、小学校4年生となりました。
本当はブカブカTシャツに、
ギャップのフード付きパーカー
というラッパー風(?)に
憧れるチビなのですが、
学校の皆がちゃんと
「襟付きシャツにプルオーバー
を着ているから、ボクも
そうしなくちゃいけないんだ。
これがボクのユニフォーム」
と、4日分のセットを作ったようです。
なんか横着ですよね~。

横浜に転勤になる以前に通わせていたフランスの学校は、小一から通信簿+テスト ― 例えば、「貴方は20点中17点、クラス平均は16.5点」みたいな評価がされていたので、親もすっかり乗せられちゃって、「ほら、明日テストでしょ? もう一回暗記しよう、練習しよう。平均点より上回っていないと大変! 」と、すっかり点取り虫ママゴンになっていたものです。
今回は何故かベルサイユで最も伝統ある私立に編入することになり、また、あの点取りレースなのかしら、と心配していました。

ところが、意外なことに、今回の学校、情操教育に重きを置いてくれてて、点数評価はしないそう。学校と親とのコミュニケーションも密ですし、(フランスっぽくないでしょう?)、感謝しております。

そうはいってもお勉強。
インターは楽しく緩いので、学力的にはどうなんだろう、と、とーっても心配していましたが、フランス語以外は何とかなっているようです。あんなに楽しく緩いお勉強でもOKだったんだ~、とある意味びっくり。
ちび猿は、インターではあまり注意されないからって恐ろしく汚い字を書いていましたが、フランスに帰ってきたら、万年筆、筆記体という、フランスの小学校のスタンダードに沿って、まぁまぁな字を書いているので、要領の良いヤツだなぁ、と呆れるやら感心するやらです。

でも、まだまだ安心できません。
毎日、チビ猿の宿題を見ています。集中してやったら小一時間で終わる量ですが、何しろ注意力超散漫なフェーズですからね、チビ猿君。エンドレスですよ、宿題セッション。
そして何とまぁ、暗記ものが多いこと。幼いうちに記憶力を訓練するといいらしいので、文句はないですし、この詰め込み・暗記は、勉強している感ありというか、自分が来た道なので、何か安心してしまうというのは否めません。
一方で、学ぶ喜びのほうは大丈夫なのか、ちょっと心配。

ちび猿のインターとフランスの学校比較は、
「インターの方がずーっと楽しかった。こっちの方がいいこと? 一つもない」
......そうです。
でもその割りには楽しそうなんだけどなぁ。
子供って根アカなんでしょうね。今日は、明日は、きっと何か楽しいことがあるにちがいない、といつも希望を胸に抱かずにはいられない。
ちび猿君、今日も元気にトロティネット、日本ではキックボードっていうのかな、を蹴って校門の中に消えていきました。

ここまでインターびいきなら、フランスでもインターに入れたら良いじゃない、ということなのですが、子猿たちはフランス人であるわけだし、フランスの社会を知るためには、フランスの学校に行くというのが自然だし、子猿たちもそれなりに楽しそうにしているし......。またインターは学費が高いので、しばらくはこのままで様子見します。

仮にこのままフランスでびっちり高校まで行くことになっても、せめて大学のときに、もっとチョイスがあるように、英語はがんばってもらいたいなぁ。
フランスも、大学教育は悪くないという人もいるけど、どうしてかそれが信用できない母猿なのです。授業料低いのはとーっても魅力的なんですけどね。
それより、イギリスやアメリカのアカデミズムの方が学ぶ喜びがあるような気がする。
せめて、学生時代くらいは、純粋に知的好奇心を探求させて上げたいし、
それに、10年後のフランス経済にあまり期待できない。
フランスの大学出ても就職できなかったらガッカリじゃないですか。

また長くなっちゃいましたね、申し訳ないです。
今朝のパリ地方は、4℃でした。陽も短くて10月にして初冬の色濃し。
日本も肌寒くなってきたようですね。
どうぞご自愛くださりますよう。
また行きます!