2012年3月7日水曜日

パリのプロフィール

パリに住むようになって3年弱、少~し見えてきたことがあります。
パリは区によって、そこに住む人の考え方も異なるってこと。


パリ市って、実はとても小さいのです。パリは全部で20区、東京は23区と似ているようですが、面積は約6分の1。
それなのに、地区によって、左派、右派、ブルジョア、ボボ(ボヘミアン・ブルジョア)、屁理屈好き、偽善的、カトなど、もう、思想・政治概念まで地区独特の傾向がある。


人口密度は東京の1.8倍ですから、そう思えば少し納得もできますが。


まず、用語説明しなくちゃですね。独断的な解釈ですので、悪しからず。


・左派
フランスといえば、自由、平等、博愛。この「平等」にこだわる人達のことだと思います。


・右派 
経済重視する人達?


・ブルジョア
小金持ち、中流階級以上


・ボボ
上の「自由」にこだわる人達。今の時代、自由でいるためにはお金が必要だから、ブルジョアでもある。


・ カト
カトリック教徒への蔑称。得てして何かと敬虔なカトリック教徒ぶる人達に使われる
……こんな所かしら。


パリといえば、右岸、左岸という区別もされますが、私はそれよりも地区で特徴があるように感じます。


私が住む16区は、ブルジョアの代表。パリの西端にあります。東京でいうと世田谷区でしょうか。面積的に大きくて、田舎っぽいところもあるけれど、成城、代田などのように高級な場所もあるし、庶民的な地区もある。
ブローニュの森も16区に含まれます。この辺りは学校(日本語の)関係で、日本人が多く住んでいます。


これが東に行くにつれて、左派度、ボボ度が強くなる。9、10、11区など中心から東に向かうに連れそんな感じ。雑踏の街で商業も多く、住宅、不動産とても高いです。


中央の1、2、7区などは、とても不動産は高級だし、ブルジョアというか、お金持ち。


東京も、ハイソな区、柄の悪い区など、あると思うけれど、パリの場合はそれプラス思想まで入っていると思う。東京だと、「あそこ?高くてダメダメ!」とか、「あそこは学校の評判悪いからダメダメ」いう会話はあっても、「あそこ?あんな右な区には住みたくない」とか、「あんなカトなの、嫌だ。僕は信仰をもたないからね」なんて聞かないでしょ?


例えば、あるパリ在住の友人との会話。
子供にとって環境の良いところに住みたい、という話になり、「16区は公園が多いから悪くないよ」というと、「あんなブルジョワな街に僕は住みたくない」と。


一方、先日は、夫の上司が16区で最も高いと言われている通りにアパートを買いました。
この上司は元々マルセイユ(南の大きな港町)に出身で、昔パリに上京したとき何か思ったのでしょうか、「いつか、16区のこの一等地に住んでやる!子供をそこのお高くとまっている私立に通わせる!ブルジョアになってやる」と野望を持って頑張ってきたそうなのです。


また、パリの人は、子供の学校休みなどバカンスは、田舎に行ったり、リゾートに行ったりと、遠出をしなくてはいけない、という概念があります。8月のパリなど、空っぽで親子でも移動しやすいので大好きなのですが、パリ人らからは「何するの、8月のパリなんて」とあきれられてしまいます。そこでムキになって、「どこどこの公園に行ったりしたわ」と、ちょっと思想が違う街の名を挙げたりすると、「あんなところに行ってどうするの、何が面白いっていうの?」って。


要は、パリの人は自分の小さな庭にいるのが好きなようです。


私は、これにちょっと反発心もあり、また子供に色々な世界を見せておきたいとも思うので、メトロに乗って、市バスに乗ってどこまでも行く、これが正しいとしてきましたが、最近は少しトーンダウンしてきました。


何だろ、郷に入ったら郷に従え、かな。
あとは色々な方の庭に侵入しているような気がしてきた。
思想のぶつかりに疲れた、これもあるかも。






今の私には、私の庭ならぬ、ブローニュの森の庭園でのんびり休日を過ごす、これが合っている。
誰もいないし、静か。猫と自然しかない。
ホッとできるマイ・スペースです。